何日目だろう
今日は朝4時に目が覚めた。薄暗い部屋の壁には、アパートの脇にある幹線道路からの光がゆらゆらと写し出されていた。
「もう、朝か」そう誰に向けるでもない独り言をつぶやいた。私はなんと思うでもなく、ただ天井を見つめた。何かを考えようとしたが、そうすればまた不安が顔を出すので、何も考えなかった。数分後、特に何もすることがないし、朝食も買いに行く気力がなかったので、また眠ることにした。
次に目が覚めたのは、午前11時ごろだった。窓から差し込む日の光から逃げるように布団から出た。「今日は何日だろう」そう呟いてカレンダーに目を向けた。毎日行うこの所作にあまり意味はない。なぜなら、今日は昨日と同じだし、明日も今日と同じだからである。
朝食を食べて、その後はネットを徘徊していた。
それも次第に飽きてきて、横になる。次第にあれこれとまた考え出してしまう。
どうにも耐えられそうにないので、少し外を歩くことにした。
都会の町は、田舎と違って、昼間に外を歩く者がいても怪訝な顔をされない。
なぜなら人が多すぎるからだ。皆、それぞれの日常を生きている。
空はぼんやり靄がかった青空で、金木犀の香りが漂っていた。
いつか来たような気がする道をとぼとぼと歩きながら、昔のことを
思い出したりする。昔は幸せだったかもしれないし、不幸せだったかもしれない。
そんなことは、もう覚えていない。
ただ、あの日も今日と同じ金木犀の香りがしていたことは覚えている。
特になんというわけでもない記憶である。
今日と同じように金木犀の香りが、冬の暗く寒い様を彷彿とさせていた。私はそのころ
それをどうすればよいか分からずにいた。あの日から何日たったのだろう。
ふとそんなことを思いつつ、来た道を折り返した。